「家事手伝い」の過去と現在
過去に使われていて、徐々に使われなくなっていく言葉って、ときどき見かけます。
そういった言葉たちの中に
「家事手伝い」という言葉があります。
昔、アンケートやインタビュー、あと雑誌の読者モデルなどで肩書きが「家事手伝い」というものを見る時代、ありました。
まだ幼かった私は、子供心に、
「家事…てつだい?」と思った記憶があります(笑)。
家事を手伝う、ってなんだよ、て(笑)。
手伝うんじゃなくて、メインでやらないの?って。
まあ、「家事手伝い」って、ある種、その言葉通りに受け取るものじゃなくて、
「家事手伝い=花嫁修業中の、良き育ちの娘ですの」
みたいな意味が含まれている、ということはもう少し大人になってから気づきました。
昔、結婚するまで、大学や短大を出た娘が「家事手伝い」として実家で花嫁修行をするということが、実際にあったのです。
この言葉が多く使われていた時代は
「男性が外で働き、女性は家を守る」
ということが当たり前の時代だったという背景もあります。
でも、昨今「家事手伝い」という言葉は減り
(実際にそう称する人に、私は遭遇したことはないです)
同じ状況でも、男女ともに「ニート」「無職」という様な言葉が使われるようになってきましたね。
これは女性の社会進出が進み、女性も労働力としてみなし、家計を支えることが一般的になってきたことが、背景として大きいと思います。
昔は、「家事手伝い」と言う名の花嫁修行は、裕福な娘というステータスだったのかもしれませんが、
最近では、むしろ「社会を経験していない」ということで、今の時代にとっては寧ろ「リスクが大きい」イメージを持たれることも。
核家族化が進み、初婚年齢も上がっている今、女性が一切の社会経験をしたことがないというのは、パートナーである男性に何かがあったときに共倒れになるという大きなリスクを抱えることになることは、周知の通り。
家事手伝いとニートは同じ?
家事手伝い、という言葉を語るとき、必ず
「それって、ニートと同じじゃん?」
という意見が出てきます。(家事手伝いあるある)
この「ニート」という言葉と、「家事手伝い」を比べた時。
何が違うの?
と感じる。
それこそが、「現代の感性」なんです。
先にも触れたとおり、過去の日本は
「男性が外で働き、女性が家を守る」
ということが当たり前だった時代があり、また、実際に男性一人で一家の家計を支えることが出来た時代がありました。
「家事手伝い」という言葉が一般的に使われていた時代の女性たちは、外に出て男性と同じように働くということ自体がレアケース。
つまり、働く必要がなかった。
「ニート」とは「働く必要があるのに働いていない人、働く意思のない人」のこと。
過去の女性たちは「働く必要がないので働いていない」だけで、ニートではなかった。
だからこそ、当時の女性たちには「ニート」という言葉ではなく「家事手伝い」という言葉が相応しかったのかも。
でも、時代は変わりました。
今の時代、「職業・家事手伝い」は、ニートとほぼ同義と見なされても過言ではなくなりました。
なぜなら、今の時代、女性たちも、男性と同じく、労働力としてみなされているから。
「箱入り娘」という言葉も同様ですね。もはや死語。箱に入ってないで、ちゃんと働け!みたいな世の中になっています。
過去「箱入り娘」という言葉から受けた
「いいところのお嬢様」「上流階級の娘さん」
というイメージからは一転、
現代の「箱入り娘」は
「社会経験の無い女」「物を知らない女」
というようなマイナスなイメージに。
家事手伝いには生きにくい時代
というわけで、色々と辛辣に書いてしまいましたが、とにかく「家事手伝い」には色々と手厳しい世の中になってきていることは間違いないです。
専業主婦も、そういう意味では風当たり強くなってきてますしね。
とにかく、世知辛い世の中。
なかなか、ゆっくり生きることが許されない時代になってきていることは、嘆かわしいですが。
でも、そんな「家事手伝い」としてゆっくり花嫁修行ができた時代、ちょっと今は想像できないけど、なんかいいなあ…(でも、ずっと結婚できなかったらそれはそれでしんどそうですが)と思う、ワンオペ育児中の自分です。